現職の原田さん再選 「指導力と説明責任」強調

毎日新聞14日朝刊に日田市長選の記事が載った。・・・・・「任期満了に伴う日田市長選は12日投開票され、現職の原田啓介さん(56)=無所属=が新人の元県教委課長、小池昭太郎さん(57)=同=を約8700票差で退けて再選した。原田さんは「地域力日本一のまちづくり」「継続は力」と訴え、刷新を訴える小池さんをかわした。当日有権者数は5万6048人。低調な選挙戦を反映し、投票率は前回比1・99ポイント減の62・34%で、過去最低だった1991年の60・05%に次いで低かった。

12日夜、同市城町の原田事務所には支持者が詰めかけ、午後10時すぎに確定票が報じられて原田さんが姿を現すと歓声や拍手。壇上で諫山洋介後援会長や井上秀樹選対本部長、衛藤征士郎衆院議員、二日市具正副知事らに迎えられた原田さんは「ある程度実績が評価された」と笑顔で話した。小池さんは「申し訳ない」と支持者に頭を下げ、報道陣に「こう差がつくとは思わなかった。4年後(の再挑戦)は白紙」と語った。

原田市長は翌13日に初登庁し、記者会見。「最初の2年は仕事を覚えたり、豪雨禍の処理に追われたりした。3年目にようやく先が見えるようになった」と1期目を振り返った。さらに「(草の根選挙だった)4年前と違い、産業界が一つにまとまって推してくれた。それだけ責任は重大」と強調。農林業や観光を含めた今後の具体策に触れ、「リーダーシップを発揮し、一層の説明責任を果たしたい」と述べた。

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 ■解説

 ◇「政治家」に脱皮を・・・・・日田市長選は低調な選挙戦の末、現職の原田啓介氏が新人の小池昭太郎氏を破った。争点が少なく、「大きな失政のない市長を1期だけで代えるのはよくない」との民意が働いたとみられる。いわば消極的な支持だ。前回、再選を目指した当時の現職の独断的な手法に有権者がノーを突きつけ、1期だけで終わらせたことに由来する。

だが、原田氏が訴えた「継続は力」に全面的な賛意を表するわけにはいかない。就任1年目に豪雨禍の処理に追われたとはいえ、この4年間、「原田カラー」はごく薄かった。難問に対して責任回避の姿勢も垣間見え、説明不足もあった。かつての市民活動家から、政治哲学を持つぶれない「政治家」に脱皮すべきであろう。日田の将来を決める待ったなしの2期目。地方創生、人口減少対策を軸に「まいたタネ」を育て、果実を市民に供する責務がある。一方、小池氏は市職員労組など労働界や社民党の支援を得たが、逆に失速した。

今春の知事選、大分市長選で労働界の「組織間の齟齬(そご)」が指摘されたばかり。小池氏に対しても組織の支援はまだら模様が目立った。市職労が当選した新人を支援した前々回は、しかるべき理由があった。だが前回は落選した現職に対して一切の運動を「封印」。そして今回、現職を排除した理由のあいまいさに首をひねる職員も多かった。

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 ◇日田市長選確定得票

当 21,656 原田啓介 56 無現

  12,938 小池昭太郎 57 無新

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実績見える市政運営 林業に加え農業振興にも力

任期満了に伴う日田市長選挙は12日に投開票され、現職の原田啓介氏(56)が再選を果たした。人口減が進む中、産業振興や定住促進など日田の再興に向けた取り組みが急がれている。選挙戦の感想や2期目の市政運営について聞いた。

選挙戦を振り返り、今の心境は。・・・・多くの組織から支援を受け、選挙を通して市と産業界がまとまった印象がある。1期目へのある程度の評価と市政継続への期待を感じた。自らに厳しく対応し、もっと市民に実績が見えるよう市政運営に努めたい。4年間の経験で得た確信や自信もある。リーダーシップをもって進めたい。

一方で「首長としてリーダーシップに欠ける」と指摘した相手候補が約1万3千票を獲得した。市職労も支援に回り、職員との意思疎通に懸念が残った。・・・・ 批判票と考えている。こちらの仕事が見えず、思いが通じていない人もいるということ。これまで以上に市民に丁寧に説明したい。職員とのコミュニケーションが欠けていたかもしれない。何をもって支持したのか説明は聞き、互いの誤解を解きたい。

2期目の抱負は。・・・・林業振興に加え、再生エネルギーの活用や高齢者、女性も働きやすい施設園芸の環境整備など農業振興にも力を入れる。本年度内に振興ビジョン策定を始めたい。年間50人を目標に移住・定住を促進し、中学生までの窓口医療費無料化を来年度には始めたい。製薬会社などの生産・研究施設の誘致も目指す。

中心市街地のにぎわい創出に向けた民有地活用や、旧郡部の振興局再編についての考えは。・・・・ 民有地は積極的に市有化する考えはないが、民間活用で話があれば仲介したい。振興局再編は市の意図が十分伝わっていなかった。役所機能の再編だけでなく、地域の振興計画もしっかり進めることを説明していく。3年かけて互いに納得いく結論を出したい。

行財政改革は今後も進めるのか。・・・・職員数は定数管理計画を見直して減らす方向となっているが、もっと進められそうなら前倒しする。特別職の給与カットは、割合は協議次第だが継続する方向性で考えている。

※この記事は、7月14日大分合同新聞朝刊に掲載されています。

日田市長選、原田氏が再選果たす

任期満了に伴う日田市長選は12日、投開票された。現職の原田啓介氏(56)が、新人で元県教委社会教育総合センター長の小池昭太郎氏(57)を、約8700票差で破って2回目の当選を果たした。投票率は62・34%で、前回(64・33%)を1・99ポイント下回った。得票は原田氏2万1656票、小池氏1万2938票。

  <開票結果> 

(当)21,656 原田 啓介 無現
   12,938 小池昭太郎 無新
   投票総数 34,943
   投票率   62・34
   有効票  34,594
   無効票     349 

任期満了に伴う日田市長選は12日、投開票された。現職の原田啓介氏(56)が、新人で元県教委社会教育総合センター長の小池昭太郎氏(57)を約8700票の大差で破り、再選を果たした。投票率は62・34%で、前回(64・33%)を1・99ポイント下回った。当日有権者数は5万6048人。

原田氏は市議会3月定例会で出馬表明。校区ごとに後援会支部を立ち上げ、100団体以上から推薦を得るなど組織を生かした戦いを展開した。市土地開発公社の解散や市職員総人件費の見直しといった行財政改革など、4年間の実績を強調し、市政運営の継続を訴えて着実に支持を広げた。

小池氏は5月に出馬を表明。地元の同級生や教諭時代の教え子、親族などを中心に草の根選挙を展開。市職労や連合大分、日田地区平和運動センターなどの支持も取り付けた。旧郡部の振興局再編や中心市街地の民有地活用案中止への反対票も取り込もうとしたが浸透しなかった。

 ※この記事は、7月13日大分合同新聞夕刊に掲載されています。

現職は新人に比べ知名度抜群

日田市長選が明日5日から告示され選挙戦が繰り広げられる。後援会活動と違って「〇〇さんに1票をお願いします」と電話で依頼されることになる。告示前の情勢をみると現職の強みがあらゆる場所で出ているようだ。4年間、市役所から出る公文書・広報などで名前が知られている。さらに、ある業界では現職のみを推薦し、組織内の締め付けを強化しているとか。現職の強みがあらゆる所で発揮され、有利に戦いを進めていると選挙通の市民は言う。

その点、新人はゼロからのスタート。5月上旬に出馬表明で新聞報道で市民の一部が知る。知名度を上げるためにミニ集会を開催したり、町内の祭りに出席したり、あらゆる場所に出ているが市民の知名度は低い。告示を控え、ようやく現職の姿が見える所までたどり着いたと関係者は言っているが、現職に並ぶのはまだまだ程遠いと言う。後は選挙戦に入り、知名度を上げてる作戦で勝敗はあると言っているようだ。

昨年の衆議院選挙、今年4月の知事選、市議選を見れば分かるように投票率の低下が心配される。市民の一部では市長選への関心が薄いことも事実。特に若年層へのアタックがカギになろう。前回の市長選のように選挙戦になって山が動き出し、最後にはなだれ現象が起き、思っていなかった結果となった。今回の市長選も山が動き出すのかが注目されているようだ。

日田の“将来像”探る 立候補予定者が公開討論

大分合同新聞報道によると・・・・・・・「日田の“将来像”探る 立候補予定者が公開討論」・・日田市長選の立候補予定者による公開討論会が2日夜、市内三本松のパトリア日田であった。日田青年会議所(伊藤将友理事長)が主催。出馬表明している現職の原田啓介氏(56)と、新人で元県教委社会教育総合センター長の小池昭太郎氏(57)が、与えられたテーマや互いに質問する形で政策やビジョンを語り、市民約千人が話に耳を傾けた。

市街地中心部にぎわい創出事業が中止になったことについて、小池氏は「活用策を協議した民有地は豆田と隈をつなぐ重要な場所。何らかの形で市が活用すべき」と発言。原田氏は「多くの公共施設を抱え、将来的な維持管理は難しいと考え中止した。土地を民間や市民で活用する際は支援したい」とした。旧郡部の5振興局の再編について、原田氏は「振興局と支所という名称にこだわらず、地域を見守る新たな公共サービスが必要。誰がどう地域を背負うのか考えないと」。小池氏は「振興局を中心に地域の特産品などを掘り起こす。ある程度の予算や権限を与え地域を盛り上げるべき」と示した。

「日田は文教観光都市。咸宜園にちなんだ教育施設はどうか。大学の学部や高等教育機関にも来てほしい」と考える小池氏に対し、原田氏は「県の林業試験場や日田林工高校など基幹産業を育てる機関がある。西日本唯一の林業大学校をつくりたい」と述べた。 討論会の様子はケーブルテレビで4日(午前10時、午後1時、同8時、同11時)に放送する。全国各地の選挙の立候補予定者を紹介するサイト「e―みらせん」(http://e-mirasen.jp/)でも約1週間後に配信する予定。   ※この記事は、7月4日大分合同新聞朝刊に掲載されています。

日田のこれから 市長選を前に

大分合同新聞が市長選を前に報道している。・・・・・『日田のこれから 市長選を前に③』日田市は昨年10月、市町村合併前の旧町村役場(2町3村)に置く5振興局のうち、3振興局を維持し、2振興局を業務縮小して支所にする素案を示した。今後3年かけて住民と話し合い、地域振興策などを講じるとしているが、支所となることが提案された地域は強く反発している。再編は今後の厳しい財政見通しが背景にある。この件について、原田啓介市長は市議会6月定例会の一般質問で「効率的な行政運営が不可欠」と答弁。素案は2013年度から担当課や振興局などでつくる検討会でまとめたことを説明し、「地域活性化プランの実施や、拠点となる施設の基盤整備の財源に合併特例債を活用できる今だからこそ提案した。持続可能な自治体制づくりや振興策を地域の人と考えたい」と理解を求めた。

一方、住民は合併後に地域の衰退が加速したと感じている。小中一貫校となったのを機に14年度から津江小は中津江村内に移転。規模が縮小した支所になれば町としての存在感が薄れて「さらに衰退が進むのでは」という懸念がぬぐえないでいる。上津江町は2月に、前津江町は4月にそれぞれ振興局の存続を求める要望書を市長に提出。上津江は3月から反対を訴える横幕も町内に掲げている。再編案が示されてから半年が経過。その間、市と話し合う機会がなかったのも不安の一因になっているという。市は「市長選を控えているため」としており、住民は選挙後の動きを注視している。

上津江地区振興協議会の嶋崎雄児会長(62)は「人口が減る中、いずれ再編されることは想像できる。農業や産業の振興がまだできてない今、(反対を)やめる時期でない」と強調する。市企画課は「今は提案しただけの状態。今後の議論で、少しずつ不安や不信みたいなものを埋めて、感情的な部分もほぐしていければ」としている。今後どう住民の理解を求めていくかが問われている。  <メモ>日田市の素案は、天瀬町、大山町、前津江町、中津江村、上津江町のうち、前津江振興局を大山の支所、上津江を中津江の支所とする。人員配置や再編時期などは未定。住民サービスの低下を招かないよう、利用頻度の高い証明書発行や収納業務などの窓口業務は支所に残す。  ※この記事は、6月25日大分合同新聞朝刊に掲載されています。

『日田のこれから 市長選を前に④』・・・・・日田祇園祭、川開き観光祭など集客力の高いイベントの多い日田市で、観光客の数が落ち込んでいる。2013年は472万人。09年からの5年で約2割の108万人も減った。観光は伸びが期待できる基幹産業の一つ。各地域や観光施設の連携やPRが課題となっている。市観光課によると、09年は580万人。このうち市最大の観光名所の豆田地区がある旧日田市内は217万人で13年までに30万人も減った。

豆田地区の観光客の伸び悩みについて、日田商工会議所の高山英彦会頭は「天領日田を象徴する施設がない」。市のPR役を担う「水郷ひた観光親善大使」で日本旅行営業推進本部担当部長の平田進也さん(58)=奈良県在住=は「『天領日田おひなまつり』などは全国トップレベルのイベント。関東、関西で認知度があまりないのは、地元が観光資源の魅力に気付いておらずPRできていないから」と指摘する。市は歴史的な町並みをより良くしようと、幹線道路の無電柱化や町並み保存事業などハード面の整備を充実させてきた。しかし、減少の歯止めはかかっていない。

「お金を落とす機会を増やせば観光客も増え、商店街の活性化につながる」と市観光協会顧問の石丸邦夫さん(71)。滞在時間を増やすため、隣接する町にあった「西国筋郡代役所」の復元などを提案する。南の咸宜園までの道のりを整備して散策距離を延ばしたいという。「咸宜園跡は今年4月に日本遺産となった。回遊性を持たせる足掛かりとなるのでは」と期待を寄せる。外国人観光客増という明るい兆しもある。九州運輸局の調べで、14年の九州への外国人入国者数は167万5千人(前年比33・2%増)で過去最高。日田市でも受け入れ態勢を整えるためホームページや案内板の多言語化、公衆無線LANサービスの設置などが求められている。

藤原朱美市商工観光部長は「JRデスティネーションキャンペーン開始などのチャンスもある。1カ所だけを訪れて帰すのでなく、豆田地区から旧郡部など、他の観光地につながる仕組みづくりとPRを急ぎたい」と話している。  ≪メモ≫日田市豆田地区は、江戸時代以降に造られた歴史的な建造物が立ち並ぶ。2004年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれた。「天領日田おひなまつり」や「千年あかり」など、日田を代表する祭りの会場にもなっている。 ※この記事は、6月26日大分合同新聞朝刊に掲載されています。 

『日田のこれから 市長選を前に⑤』・・・・・日田市は、市民主体のまちづくりを実現するための基本理念を定めた自治基本条例を2013年12月に制定。市はNPO法人などの団体支援を進めている。市民活動推進課が把握する市内で活動するNPOは29団体、任意団体は110団体(今年6月現在)。多様化、高度化する市民ニーズに応えるには行政対応だけでは限界があり、市民と協働する必要性が出てきたことが背景にある。

「市の講座のおかげで活動が成長している。手弁当では実現できない事業にも取り組めた」。12年に設立した読み聞かせグループ「エホント」(3人)の石松リエ代表(50)は12、13年度に市主催のNPO協働推進講座に参加。情報発信や補助金申請手続きなど実践的なスキルを学んだ。13年度から市が非営利で公益的な取り組みに対し事業委託する市民サービス協働事業に挑戦。市の委託費を受け、廃校となった学校の図書を民間施設に配本し、本を通じたコミュニティーづくりを展開している。NPO協働推進講座は市民協働に向けた人材や団体育成の一環。市民サービス協働事業はこれまでできなかった行政サービスを市民力を活用し、展開するもの。委託費を支払うことで市民団体の“体力づくり”にも貢献している。

一方、活動の広がりには課題も見えている。自治会や市民団体のまちづくり活動費の6割以内を助成する制度は「周知が不十分な面もあった」(市民活動推進課)こともあり、本年度の利用はまだ0件。交流サイト「フェイスブック」を使った市の情報発信を求めてきた日田情報産業協議会の宮田寿望さん(50)は「市民協働には市民との情報共有が欠かせない。本年度内に活用される見通しになったが市の対応は遅い」と指摘する。石松代表は「市民協働に取り組む団体の顔触れが同じになりがちなのでもっと広がってほしい。市の支援体制は整ってきたが、運用面でも市民活動が長期にわたって継続できるよう十分な配慮をしてほしい」と訴えた。 ※この記事は、6月27日大分合同新聞朝刊に掲載されています。

市政や暮らしの課題について①

大分合同新聞が5回のシリーズで市長選を前に報道している。・・・・・・『日田のこれから 市長選を前に①』・・・・・・市町村合併から10年を迎えた日田市。市域は広がり効率的な行政運営などさまざまなメリットが生じたが、人口減など課題も抱えている。市長選挙(7月5日告示、同12日投開票)を前に市政や暮らしの課題についてリポートする。(5回続き)

日田市前津江町の自営業、梶原和人さん(44)は11年前に広島市から古里に戻った。「帰省時に加わった地元の青壮年グループは約40人もいて心強かったが、わずか10年で半分に減った」。高齢化が進む上、子どもの高校進学や就職を機に前津江町を離れていく。その姿を見るとどこまで人口が減るのか心配になる。旧日田市の人口は昭和30年代の約7万人がピーク。天瀬と大山、前津江、中津江、上津江各地域を加えると約10万人に達した。2005年3月に日田の旧市郡が合併して新日田市が誕生。ところが半世紀で約6万8700人(今年5月末現在)まで減少した。旧日田郡の前津江、中津江、上津江は千人を割り込み、生活基盤を維持するためにも人口維持は死活問題になっている。

市は人口減少対策として、人口の自然増を求め出生率アップを目指した子育て支援、人口の社会増を目指した企業誘致や雇用確保などの施策を実施してきた。ただし明確な歯止めにはなっていないのが現状だ。国の「まち・ひと・しごと創生法」の制定を受け、11月末までに人口減対策の目標や実施項目を定めた日田市版総合戦略の策定を急ぐ。市企画部は「これまでの人口減少や地域振興対策事業を見直し、核とすべき事業は何なのかを見いだしていく。限られた時間の中で市民が本気で議論し、アイデアを出すかどうかが成功の鍵となる」という。

日田商工会議所は2013年に市の将来人口調査を大分大学に依頼。効果的な対策を講じなければ50年の人口は約3万8千~約3万5千人と推計している。高山英彦会頭は「人口減イコール消費者減。このままでは小売業を中心に事業所が成り立たなくなる。後継者を育てず廃業を選択する事業所も出始めており、今ある事業所が皆生き残るのは困難」と危機感を抱く。梶原さんも10年後の市の姿を想像すると不安を拭えないでいる。「まちづくりにも関わってきたが、市担当者は人事異動で変わり戸惑うことが少なくない。市長も3人目。人が変わるのは仕方がないが、住民が古里で安心して暮らせると思える道筋をしっかりと付けてほしい」と願っている。 ※この記事は、6月23日大分合同新聞朝刊に掲載されています。

 『日田のこれから 市長選を前に②』・・・・・日田市のJR日田駅前から続く商店街から徒歩5分ほど。コンクリートの基礎部分がむき出しの空き地が広がっている。ここは市が掲げた市街地中心部再開発事業の予定地。複合施設や公園を整備する活用案に賛否両論が巻き起こり、市は2014年度、市民の反対意見などを理由に事業中止を決めた。市を二分したのは、市内三本松の民有地(約1万平方メートル)活用策を検討した「市街地中心部にぎわい創出事業」。市民らを募ったワーキング会議(約40人)でアイデアを出し合った。13年7月の発足から半年で会議は10回を超えた。「10年先を見据え、高齢者や子育て世代の拠点ができるという期待が高まった」。会議メンバーの松重哲市商店街連合会長は振り返る。

市は事業に合わせて対象地の空き地を所有する企業と交渉を継続。企業から市老人福祉センター(中ノ島町)などとの用地交換案が示され、市は福祉機能の一部を複合施設に再編する方向で事業を進めた。14年2月、コンサルタント会社がメンバーの意見を基に整備案を集約。高齢者や親子、まちづくり活動団体が集まれる複合施設の建設計画を示した。市民からは賛成の声がある一方、「ハコモノは必要ない」などの意見も相次いだ。市は14年12月、反対意見や民有地所有者との土地売買交渉の難航を理由に中止を決めた。

中止したことについて商店街関係者からは賛否の声が聞かれる。ある店主は「身の丈にあった事業ではなかった。地道に空き店舗対策などを図るべき」と冷ややか。一方、松重会長は「中止のままでは空洞化はさらに進む。市民が同意できる別の空き地活用策が必要」と話す。市の中止表明以降、具体的な市の動きはない。長年の課題である市街地中心部の空き地活用対策はいまだ宙に浮いたままだ。市街地中心部の空洞化は年々厳しさを増している。新たな活性化策が求められている。

メモ・・・・市街地中心部にぎわい創出事業では、市民らによるワーキング会議で出されたアイデアを市から委託を受けたコンサルタントが整備案(空間計画案)にまとめた。複合施設と公園を建設し、ソフト面の充実も図る。主な内容は▽高齢者や子どもの集える場所▽子育てママの交流▽快適に過ごせる木陰空間▽市民団体の活動拠点▽商店街と連携した地場産品の提供▽行政の証明書発行窓口―など。2013、14年度の事業費は計約805万円。  ※この記事は、6月24日大分合同新聞朝刊に掲載されています。

8年前の市長選・・・②

8年前の日田市長選は今回の市長選に似た部分がある。そこで8年前のブログを引き出した。・・・・・2007/7/30  『日田をどげんかせんといかん』の声が・・・・佐藤陽一氏は『日田を変えよう 新しい風で!!』をスローガンに選挙戦を戦った。『日田をどげんかせんといかん』という市民からの声を真剣に聞き入れて市長選出馬された。出馬表明から選挙戦まで期間がなかったが、市民の支援の輪が短期間に広がったことも勝利の要因のひとつ。大石氏への反発は、市の景気が悪く、市民の中には不満が充満していたことや多選の批判、政策決定のやり方にも市民は疑問を投げていた。

投票の結果、市民の半数は違った候補に投票しているので、市政運営には荒波もあると思われるが、市民の声を十分に聞き、市民の調和を含め、低迷している日田に元気を取り戻して欲しいと思います。

『誰が予想していただろうか?10860票差について』・・・・7/30  昨夜10時半の日田市長選開票選管発表で、5000票近く差があった。この段階で、『佐藤陽一氏が当確に近い』と誰もが思った。最終的には、佐藤氏が大石氏に『10860票差まで広げた』 最終開票結果、佐藤陽一氏が23,946票、大石昭忠氏が13,086票、橋本信一郎氏が6,417票、相良勝彦氏が2558票でした。

市民の中には、投票前までの戦いを見て、2万票が当落の分かれ目と言われていた。激戦であったので小差かもしれないと予想していた市民も多かった。しかし、蓋を開けてみれば大差。市民誰一人予想はつかなかったと思う。前回の選挙でも小差で辛うじて大石氏が当選したが、その流れが底辺にあったと思える。

『迷惑な選挙時の電話』

西日本新聞27日朝刊に次のような投書が載っていた。・・・・・『日田市長選挙が7月にあります。「あー、また」と憂鬱になります。電話による投票依頼のことです。今春の市議選もそうでしたが、選挙期間中、各陣営から頻繁に電話があります。支援者紹介カードに、知人が私の名前を書くのでしょう。「よろしくお願いします」と言われると「頑張ってください」と答えるだけです。この繰り返しですよ。効果があるのか。電話代も普通じゃないと思うんですがね。電話作戦は認められているとはいえ、迷惑がる有権者は多いんじゃないですか。他に選挙運動はあるでしょう。』

市長選現状と展望 毎日新聞報道

毎日新聞で次のような報道がされている。・・・・・・『日田市長選 来月5日告示 人口減少、振興局再編、防災、市街地活性化 現状と展望は…』 

◇現職と新人の一騎打ちか・・・・・日田市選管は24日、任期満了に伴う市長選(7月5日告示、12日投開票)の立候補予定者説明会を開き、再選を目指す現職の原田啓介氏(56)と、新人で元県教育委員会課長の小池昭太郎氏(57)=ともに無所属=の一騎打ちの公算が強まった。今年は地方創生元年、市町村合併から10年、そして2012年の九州北部豪雨から3年。日田の将来を問う節目の市長選を控え、人口減少や振興局再編問題、防災、中心市街地の活性化など、市の厳しい現状と展望を探った。

◆人口半減へ?・・・・・人口7万1010人から最少で3万5000人へ。日田商工会議所と大分大が2013年3月に発表した50年の人口推計だ。「このまま対策を取らなければ」が前提だが、市民に与えた衝撃は大きかった。市町村が合併した05年春の人口は7万5970人だったが、昨年、ついに7万人を切った。さらに昨春の日本創生会議の提言書(増田リポート)が追い討ちをかけた。20〜30歳代の女性人口が半減する消滅可能性自治体に日田市も挙げられた。40年までに52・4%減少するという。人口減少は活力をそぎ、経済低迷を招く。市は今年2月に「まち・ひと・しごと創生本部」を設置。7月をめどに人口ビジョン、11月までに日田版の総合戦略を策定し、持続可能な地域社会の形成を目指す。定住自立圏構想も含め、実効性のある具体策ができるかが試されている。

◆再編反対・・・・・・「地域が崩壊する」と旧郡部(5町村)を騒がせているのが振興局の再編問題だ。市は3年後をめどに「大山・前津江」「中津江・上津江」「天瀬」の3エリアに再編し、今の前津江局と上津江局を支所化する縮小案を示した。行財政改革の一環。前津江町の人口は合併時から458人減の1078人、上津江町も同320人減の892人と、典型的な過疎化や高齢化が進行している。そろって振興局の存続を要望した。「中核施設の縮小は住民の生活不便・不安を増大させ、基幹産業である農林業の衰退に拍車をかける」。嶋崎雄児・上津江地区振興協議会長は危機感もあらわ。「むしろ振興局のシンクタンク機能を充実させ、元気と若者を呼び込む施策を。我々も知恵と汗を絞り、地域に眠る資源を掘り起こしたい」と話し、「市長選の論戦、そして終了後が勝負」と注視している。

◆地域の防災力・・・・・・ 「自分の身は自分で守る自主防災組織の育成・強化、避難体制の確立、ハザードマップ見直しなど、課題はまだまだ多い」。市防災・危機管理室の坂本憲明室長、原田豊司総括は口をそろえる。日田は12年7月、「これまで経験したことのない大雨」だった九州北部豪雨などで2回被災。防災計画の見直しなど防災・減災の施策はぐっと向上してきた。258ある自主防災組織の要となる防災士は、これまでに314人を養成。18年度までに495人に増やす計画だ。豪雨時に防災無線放送のサイレンが聞こえなかったことを教訓に、避難勧告などの前に鳴らすサイレンをより遠くまで聞こえるよう改善した。また、これまで1カ所にあった災害用の備蓄物資を計17カ所に分散。河川監視カメラも従来の7基に加え、新たに5基を設置した。

◆市街地活性化・・・・・日田商工会議所の高山英彦会頭は「このままでは中心市街地が、中心市街地でなくなってしまう」と嘆く。昨年12月、市は「賑わい創出事業」として取り組んだ中心部の空き地(民有地、9000平方メートル)の買収計画を中止した。高山会頭は「何とか打開策を」と期待する一方、▽空き店舗になった原因の調査と市内外からの入居者誘致▽日本遺産・咸宜園跡の観光利用と交流人口の拡大▽日田代官所を復元する市民運動−−などを提唱している。