毎日・朝日・読売新聞報道から・・・

2011/07/13

日田市長選:新人の原田啓介氏が当選 現職・佐藤氏破る
大分県の日田市長選が10日投開票され、新人で会社役員の原田啓介氏(52)=無所属=が、現職の佐藤陽一氏(62)=同=との接戦を制し、初当選した。原田氏は1万9338票で、1万7643票の佐藤氏に1695票差をつけた。投票率は64.33%(前回77.40%)。
原田氏は開かれた市政への転換を強調。市民参加の事業仕分け、国の総合特区制度導入、地場産品支援などを訴えた。組織に頼らぬ選挙戦だったが、終盤、現職批判票をまとめ上げた。
原田氏は市内の事務所で「責任の重さを痛感する。新しい風を巻き起こしたい」と喜びを語った。【楢原義則】  毎日新聞 2011年7月10日 22時46分
選挙:日田市長選 原田さん、喜びの初当選 「市政に新しい風起こします」 /大分
任期満了に伴う日田市長選は10日投開票され、無所属新人で会社役員の原田啓介さん(52)が再選を目指す無所属現職の佐藤陽一さん(62)を破り、初当選した。選挙戦で「独断専行の佐藤市政」を断罪して急追。現職批判票をまとめ上げ、1695票差でかわした。同市で現職が1期で降板するのは初めて。当日有権者数は5万8062人、投票率は64・33%(男63・62%、女64・94%)で、前回(77・40%)を約13ポイント下回った。【楢原義則、深津誠】
原田さんは12日に当選証書を交付され、初登庁は8月5日。一夜明けた11日の記者会見で「改めて責任の重さを痛感する」。勝因は「施策の説明責任を果たさず、経営感覚に乏しい現職の敵失」と分析し、「独断専行、官僚的な市政を反面教師とし、市民、市職員の知恵を借りながら全員野球で開かれた市政に」と述べた。
選挙戦で焦点になったクンチョウ酒蔵群の美術館転用問題について「伝統的建造物の酒蔵は保存が必要だが、美術館への活用はいったん白紙に戻す」、屋形船を公有化するまちづくり公社構想も「屋形船文化は残すべきだが、公的運営はあり得ない」と改めて精査する考えを示した。
市民参加の事業仕分けは、来年6月ごろをめどに導入する方針。市内に市営、民営の2ケーブルテレビ局が混在する情報格差問題は「番組の相互乗り入れを検討し、将来的には公設民営の1局化が望ましい」と述べ、費用対効果重視の市政への転換を強調した。
◇佐藤さん「私の不徳」
同市三本松の原田選対事務所。午後10時すぎ、「当確」の報が飛び込み、詰めかけた支持者約80人から歓声と拍手の嵐。ゼロからスタートした短期決戦をしのぎ切った末の勝利。原田さんはもみくちゃになりながらガッツポーズで祝福に応え、「責任の重さを痛感。市政に新しい風を起こします」。石松雅彰選対本部長も「皆さんの支援のおかげ」と真っ黒に日焼けした顔をくしゃくしゃにした。
一方、同市玉川町の佐藤さんの後援会長が経営する木工会社の広場。再選の喜びをはじけさせるはずだったが、届いたのは敗戦の報。間もなく着いた佐藤さんは「なんでこんな結果になったのか信じ切れないが私の不徳のいたすところ。申し訳ない」と頭を下げ、顔に疲労感をにじませた。
■解説
◇「ヤマが動いた」 女性票が後押し
組織がない、金もない手弁当の新人の草の根選挙が、現職の組織型の厚い壁を打ち破った。勝敗を分けたのは、主婦など女性票。投票日3日前から変化が表れ始め、原田氏が訴える「佐藤市政の無駄遣い」「独断的な行政手法」に敏感に反応。個々人、グループごとに顕在化して「市政チェンジ」の呼びかけの輪が広がった。
原田氏の立候補表明は、わずか告示2週間前。担ぎ出した現市政批判勢力を含め、てんでんばらばらで、組織の体をなさず、「後援会」の体系化を断念した。選挙資金から食料までカンパや手弁当。「多くいるはずの勝手連」も、どこにどの程度いるのか見当がつかず、「負け戦」覚悟のスタートだった。
「ヤマ(女性票)」が動き出したのは、原田氏が「ばらまき市政の排除」「開かれた市政実現」を訴えた総決起集会翌日の7日。巨額投資が見込まれるクンチョウ酒蔵群の美術館転用問題、費用対効果がない相模原市での日田物産展、採算性が疑われる屋形船公有化などのまちづくり公社設立構想などが、家計のやり繰りに追われる主婦らを怒らせ、現職の2期目への危惧と「原田支持」の電話が飛び交って大きな奔流になった。【楢原義則】
◇市長選確定得票
当 19,338 原田啓介 52 無新
17,643 佐藤陽一 62 無現
日田市:原田・新市長に当選証書 震災被災地訪問へ /大分 毎日新聞
日田市長選で初当選した原田啓介さん(52)は12日、市役所で安部敏朗選管委員長から当選証書を受け取った。初登庁は8月5日。それまでの間、東日本大震災の被災地を訪ね、行政組織の非常時の対応やライフラインの復旧などアフターケアを勉強し、市の防災計画の見直しに役立てる考えを示した。
安部委員長は証書を手渡す際、「安心・安全のまちづくりのため若い力と広い視野で市政を担ってほしい」と注文。原田さんは記者会見で「就任までに市政の現状を分析し、政策の内容や方向性をきちっとまとめたい」と述べた。被災地訪問は今月末に1週間程度を予定。訪問先はこれから詰めるという。
2陣営、最後の訴え/日田市長選あす投開票 2011年07月09日 朝日新聞
日田市長選は10日、投開票される。一騎打ちの激戦を展開中の無所属新顔で会社役員の原田啓介氏(52)と、無所属現職で再選を目指す佐藤陽一氏(62)の両陣営はそれぞれ最後の追い込みに入っている。
告示約2週間前の出馬表明と出遅れた原田氏は支持組織もなかったが、現職批判派グループなどが「勝手連」的に支援の輪を広げ、「先行相手に手が届くところまで来た」と勢い込む。6日夜、パトリア日田大ホールでの総決起大会には、告示前に続いて自由の森大学で副学長だった福岡政行・白鴎大教授が再び応援に駆けつけるなどして終盤の動きに弾みが付いた。
一方、連合大分など各界、各層の手厚い推薦団体に乗る佐藤氏は、4年間の実績を強調して「2期目も任せて」と訴える。陣営幹部は「上滑り」を警戒、旧町村部や主要団体、企業の後援会などを引き締める。7日夜、パトリア日田大ホールで総決起大会を開き、「中傷攻撃をはねのけ、実行力のある佐藤さんを引き続き市長に」と終盤の盛り上げを図った。
投票は午前7時から市内59カ所であり、終了時間は午後5時が2カ所、同6時が25カ所、同7時と8時が各16カ所。開票は同9時から市総合体育館で。
有権者数は5万9027人(2日現在、市選管調べ)。参院選とのダブル選挙だった前回の投票率は77・4%。期日前投票は8日現在4673人で、前回の5日間5477人を下回っている。(堺謙一郎)
原田氏、現職破り初当選/佐藤氏再選阻む 2011年07月12日 朝日新聞
日田市長選は10日投開票され、無職属新顔で会社役員の原田啓介氏(52)が、再選を目指した無所属現職の佐藤陽一氏(62)を破り、初当選した。原田氏は「日田市を覆う閉塞感(へい・そく・かん)から抜け出したいという市民の気持ちが勝たせてくれた。市民と一緒に、風通しの良い、明るい日田づくりを進めたい」と語った。
午後10時過ぎ、原田氏の当選が決まると日田市三本松2丁目の選挙事務所では支持者らの喜びが爆発した。原田氏と握手や万歳三唱を繰り返した。
原田氏は一夜明けた11日、「酒蔵問題は活用ではなく保存策を、屋形船公有化は考えず、いずれも見直す。国保税額抑制のため一般会計から繰り入れたい。博多大丸展などは費用対効果を検証する。市職組とは労使協定の経緯などを確認して、官民賃金格差問題は考えたい。市長就任前に東日本大震災の被災地に出向き、現地を見てみたい。副市長は少なくとも一人は置きたい」と話した。
原田氏の立候補表明は告示の2週間余り前。出遅れたが、佐藤市政への批判は予想以上で、「受け皿」を探していた批判票がうねりとなって原田氏に流れ込んだ。告示後の4~9日、原田氏が市内交差点で毎朝続けた「辻立ち」は、日を追って反応が良くなった。市内遊説も終盤は車が通りかかると家々から女性や高齢者らが飛び出して、手を振り、握手を求めた。自由の森大学事務局長だった原田氏の応援に2度駆けつけた元副学長の福岡政行・白鴎大教授の激励演説も弾みをつけた。地方自治に明るく、全国の先進自治体首長と人脈を持つ福岡氏に「原田市政の指南役」を期待する声も多い。
「市民参加の市政」を掲げる原田氏にとって、市民の声をよく聞きながら「事業仕分けによる無駄のカット」などの公約を着実に果たすことが課題になる。
一方、手厚い推薦団体に乗った佐藤氏にとってこの結果は、「まさか批判がこんなに強かったとは」という陣営幹部の驚きの声が代弁している。昨年12月に早々と立候補表明し、一時は無投票当選もうわさされた。一変させたのは「酒蔵活用問題」。買収を延期し「白紙」を強調したが、批判をかわし切れなかった。
選挙になると、加えて「屋形船公有化」「認定こども園」など一連の市政課題が批判され、市民の間に「流れを変えよう」という空気が一気に強まった。陣営幹部は終盤の相手陣営の盛り上がりに危機感を強め、楽観論が目立つ組織を必死に引き締めようとしたが遅かった。(堺謙一郎)
日田市長当選、原田氏に証書 2011年07月13日 朝日新聞
日田市選管は12日、10日投開票の市長選で初当選した会社役員の原田啓介氏(52)に当選証書を付与した=写真。落選した佐藤陽一市長の任期は8月4日までで、業務引き継ぎ式は任期満了日の朝にある。
証書を手にした原田氏は「改めて責任の重さを実感している。引き継ぎまでの時間を政策の方向性の整理や東日本大震災の被災地自治体でのボランティアや視察などに充てたい」と話した。被災地訪問は今月下旬から4~7日間程度を見込み、訪問先の自治体は未定という。(堺謙一郎)
日田市長選原田さんが初当選  2011年7月12日 読売新聞
日田市長選は10日、投開票され、新人の貸しビル会社役員・原田啓介さん(52)(無所属)が、再選を目指した佐藤陽一さん(62)(無所属)を破り、初当選を果たした。
原田さんは告示2週間前に立候補を表明。組織に頼らない「草の根選挙」を展開し、旧市域を中心に無党派層の掘り起こしに力を入れた。選挙戦では「開かれた市政の実現」をスローガンに掲げ、市職員の人件費カットなどを訴えた。
当選が決まると、同市三本松2の事務所で、支援者と抱き合って喜びを爆発させた。「期待に応えられるよう、思い切って新しい日田市づくりに取り組みたい」。遊説で日焼けした顔をほころばせながら、抱負を述べた。
一方、佐藤さんは1期目の実績を強調、連合大分など各種団体の推薦を受けたが、及ばなかった。同市玉川3の支援者の事務所に姿を見せ、「何でこんな結果になったのか……。本当に申し訳ない」と何度も頭を下げた。
当選から一夜明けた11日、原田さんは事務所で記者会見を開いた。市がクンチョウ酒造(豆田町)の酒蔵などを買収し、岩沢重夫画伯の美術館を建設する基本構想案について、選挙戦では、美術館建設と酒蔵の活用は切り離して考えることを訴えていた。会見では「酒蔵をどう活用するか以前の問題として、どういう形で酒蔵を残せるのか考えたい」と述べた。